お久しぶりです。



こんにちは。ご覧いただいている皆様お元気でしょうか?
ご無沙汰しております。あるいは初めまして。
ご無沙汰どころか、明けましておめでとう!を、発しなければと思うこの頃です。
暑い日もあれば梅雨空つづく新潟県魚沼から久しぶりのブログ更新とします。

ベッド脇の松葉杖と右膝に取り付けてある固定用ニーブレースには沢山の落書きがあり見るたびに笑っています。

思い起こせば今年2月22日 良く晴れた1日だった。通訳スキーインストラクターとして5日間の予定で湯沢方面のスキー場にいた。朝一に山頂に着き滑り出すが、雪山スキーで急斜面にて高速回転時にど派手に転倒してしまった。
バックカントリー用のファット板の為、ビンディング解放値はマックスに近い位に自ら設定していた。その為、板が足から離れる事はなかった。転倒後、右足を見ると膝から下が外側へ曲がっている事に気づき激痛ある中だったが、何とかしなければと思い咄嗟に2発脛を外側から殴り膝下を真っすぐになるよう自らの足を兵隊修理した。そしてポールとロープでそこを固定した。咄嗟の出来事に何が何だか解らずじまい、今思えば正しい事故後の処置であった。山頂付近なので無線でレスキューを呼んだ。そして病院へ搬送。

右膝前十字靭帯・内側側副靭帯断裂損傷及び外側半月板断裂損傷 全治1年。 
という診断名が下された。
そのとても長い診断名はお経にしか聞こえなかったし、全治1年その後の執行猶予期間的な
時間がとても気になったが、医師から重症であると告げられ今季はおろか来季も怪しいと宣告され、自分なりに潔く怪我の状態を受け入れた。42年スキーをやってきてこれほどの大怪我は初めての経験であり当分の間、安静にし大きく腫れあがった膝から血抜きをする治療が始まった。

切れてしまった靭帯は二度と再生する事はないが、高い活動性を求めず日常生活動作だけでは支障がない場合は必ずしも手術が必要というわけではない。しかしながらスポーツ活動・高所作業、階段昇降などで膝崩れや不安定感が生じたり、私の様に半月板損傷を合併している場合は半月板や関節軟骨がさらに傷み、膝の安定性が回復する可能性はとても低く、手術治療が最適という。そんな話がホワイトカラーの医師からブルーカラーの私へあった。
術方法はハムストリング(腱)もしくは骨付き膝蓋腱を採取して体外で加工して大腿骨及び脛骨に開けた骨のトンネルを通しプレートとスクリューで固定して前十字靭帯を再建する。
同時に半月板の部分切除もしくは縫合を行い関節内遊離体除去や滑膜切除も行う。
手術日程は膝の腫れが引き可動域が120度以上になる頃。おおよそ5、6月頃と言われた。

幸な事にシーズン中はイントラの後継者が見かったし、2月という時期でもありストーブ業の忙しさもなく治療に専念する事が出来たがそれもぬか喜びであった。右足の為、車の運転が出来ず、家族や仲間達に運転を頼み3月まで大いに迷惑をかけた。術前治療とリハビリ、術後治療とリハビリと考えると気が遠くなる話。ラグビー、柔道、相撲、バスケットボール、そしてスキー。ACL(前十字靭帯)損傷事故が多いスポーツと言われている。早い選手では術後6~7か月でスポーツ復帰されるが、それは全て若いアスリートであり、決して50歳のストーブ屋のおじさんではない。が、私は3月中旬から自分の事をアスリートと思い込む事にした。(笑)

松葉杖が外れ膝装具のみで歩行可能の時期から筋トレをガンガン行った。やりすぎて再三膝内に血が溜まるがそんなものは注射で抜いてもらえばよい話、痛みを堪えて猛烈にリハビリと筋トレに燃えた。3月下旬からの工事4月の工事そして煙突掃除メンテナンスをこなした。松葉杖をついて膝に自分用に特注制作してもらった装具を付けて屋根に上がったが不思議な気持ちになった事を忘れない。お客さんも顔は笑っているが目は怖いほどに真剣。世の中、松葉杖ついて屋根に上がる人間はそうはいないだろうからな。この頃から行く先々で言われた。「屋根から落ちて怪我したんでしょう?」
先方さんとの打ち合わせでは松葉杖ついて行くと妙な顔され言われる。「大丈夫ですよね、。・・・。工事。」
笑い事ではけしてない。生涯に一度の夢のマイホーム一戸建て、漸く着工のリフォーム工事だからね。
当然お客様と建設会社は真剣そのものですからね。そんな打ち合わせの折に松葉杖をつき足を引きずった薪ストーブ屋が来たら、どうします?
そうですね、、。やっぱりね、、。って普通は一般常識論では請け負い工事はNOと断られるはずだ。しかし、先々で契約を頂けた。相見積もりだが、あなたのところに頼みます。とも言われた。想定外というのは起きるものです。膝の装具を取付けていれば難なく仕事がこなせるように回復しても私は打ち合わせの時は必ず松葉杖ついて行きました。(笑)まさに幸運を引き寄せる松葉杖と言える。そんな動きで5月はリハビリと筋トレを続けながら、例年通り薪作りでチェーンソー作業とメンテナンスに回った。膝の可動域は125度をクリアした。体調も万全だ。

そして6月。待ちに待った入院手術。4時間半の手術。無事成功。
術後3日間は地獄だったが、すぐさまリハビリが始った。体中にいろんな管が差し込まれている中、患部を動かし始めた。パンパンに腫れあがった膝は悲鳴をあげているようだが、新たな腱が生着し始めている証拠でもある。今後、再建したものが切れないようにリハビリが当分の間続く予定だ。車いす移動から松葉杖移動となり体中の管が外された。右足非荷重が3週間その後、3分の1荷重、2分の1荷重、3分の2荷重、術後45日から全荷重となる。

7月に入り自宅にいる。
梅雨空続きの日々退院後、薪ストーブに火を入れる。とても癒される。
仮設ベッド脇のイントレピッドⅡを燃やし窓を開けて楽しんでいる。こんな病院あっても良いと思った。今度病院で営業してみよう。幸運の松葉杖をつきながら。
体の見た目は3月上旬に逆戻りだが、術前のトレーニングとは異なり、自宅リハビリと週1,2回の院内リハビリがつづく。高所作業開始はお盆過ぎを予定している。

偶然でも必然でもない、怪我はやっぱり怪我であってない事が望ましい。怪我から学ぶ事など1つもない。学び行く日常の中で怪我をしただけの事。チャレンジしている中では怪我は付き物だ。だから冒険家は怪我をしない体を作る努力をする。まだまだ私には努力が足りない。そう言いながら、今日も古典落語を聞きながらリハビリした真似をする。